十勝太から十勝西海岸を巡って、襟裳岬へ...
町道昆布刈石海岸線を下ると、道道1038号に合流する。
すぐに厚内トンネルの前に出た。
旧厚内トンネルがどのようになっているか見に行った。
がっちりコンクリートで固められ、手前には金属製の柵も設置されており、人の侵入を拒んでいた。
ナウマン国道を北へ。
もう一度昆布刈石展望台を目指す。
十勝太の集落を通り過ぎる。
時間はちょうど17時だった。
対向車がいない事を祈って、幌を開けた。
やっぱり爽快だ。
人があまり来ないと言う事は、観光地として不人気と言う事だが、ボクはここに来る為だけに北海道へ渡って来ても十分価値があると思っている。
既に北の空には厚い雲があった。
やっぱりこの風景はいい。
そして、ダートの道を下って行く...
過去何度か見に行こうと思っていて叶わなかった、ナウマン象の発掘地を見に行った。
結構質素なものだった。ナウマン象の資料は国道236号沿いにある忠類ナウマン象記念館に納められている。
ナウマン象は長野の野尻湖や瀬戸内海でも発掘されている。
巨大なナウマン象がこの北の大地を歩き回る姿に、しばし思いを馳せる...
晩成温泉を左に行くと、昨年も訪れた生花苗沼に出る。
晩成の地名は、明治時代にこの十勝を開墾に入った晩成社の名から来ている。
その晩成社が開墾に入った沼がこの生花苗沼なのだそうだ。
美しい湖面、野鳥が多く生息する原始境である。
晩成温泉の前を通り過ぎて、行った事のなかったホロカヤントーに向かう。
冬は海跡湖のホロカヤントー沼はワカサギ釣りでにぎわうそうだ。
たぶん、この無人の小屋は冬には釣り人で賑わうのだろう。
寂しいホロカヤントーの浜に立つ。
走って来た、黄金道路は正面の山裾と海の間を走っているのだ。
流木が散乱する海岸で、海をしばらく見ていた...
原始砂丘の上に、十勝ホロカヤントー竪穴群遺跡がある。
ここから見下ろしたホロカヤントー沼がこれ。
美しい沼、広がる太平洋、そして遥かに見える襟裳岬。
古代の人々はこのような風景を見ながら暮らしていたのだ。
昆布刈石のダートに出た。
日高の山々は、雲が広がりもう見えない。
夕刻の何とも言えない色彩の海岸。
満潮になって、どこまでも続く砂浜は隠れてしまっていた。
ここちよい潮風が吹いていた...
国道336号ナウマン国道を逸れて、晩成温泉へ向かう。
牧場沿いをまっすぐ海へ続く道。
波の音、風の音だけが聞こえていた。
さびしいホロカヤントーを後にする。
国道336号の終点で幌を閉めた。
通り過ぎた午前中とは違って、雲が広がって来ていた。
17:30陽が傾き、昆布刈石展望台に影が伸びて来た。
この風景を目に焼き付けよう。
今年この北の大地を旅した証しとして。
厚内トンネルを抜けて、海沿いの道を行く。
波打ち際がすぐそこにある。
向かう釧路はあの雲の下だろう。
明日の予定は変わってしまいそうだ。晴れる事を前提に北太平洋シーサイドラインを走るつもりだった。
それにしても夕暮れの東の空の青って美しいな。
走って来た道を振り返る。
波の飛沫が霧のように吹き上がる。
ちょっと道路はムリっぽかったが、原始砂丘の上の遺跡に続く道を無理矢理上って行った。
この竪穴式住居は1,000年前のもの。縄文時代から引き継がれアイヌ文化期に移行する8,000年もの長期間生活が営まれて来たらしい。大規模な遺跡は常呂遺跡や標津遺跡である。
冬の気候は厳しいのだろうが、この風景を見ながら暮らすのもわるくない。
ほのかに紅くそまった空に別れを告げて、走り出した。
目指すのは釧路だった。