前略、僕は日本のどこかにいます。
そして、たどり着いたこの駅...
またやってきた。
このホームのベンチに座って、海を見る...
じっと見る...
夏のように暑い日だった。
旅を感じて、
風を感じて、
立ち止まって記憶する...
駅のベンチから国道を見下ろす...
決して交通量の少ない道ではない。
八幡浜、宇和島へ続く道...
行き交うクルマを見送る。
「お先にどうぞ、ボクはこのベンチでゆっくりしていきます...」
誰もいない改札から...
海辺にあるように見えるホームを見ていた。
時刻表をみたら、まもなく列車が着くようだ。
次の旅への出発駅...
誰もいないこの駅で考える事...
次に行く旅
次の食事
明日の自分...
佐田岬灯台が見えてきた...
完全な逆光。
佐田岬灯台は、高さ 18 m、海面からの標高は48.7 mである。
四国の西の果て、佐田岬にて...
宇和島行きの2両編成の列車が到着。
閑散とした駅には不似合いなほど人が降りてきた...
あっという間に、この駅は乗り鉄に占領された。
夢から覚めた瞬間ってこんなもんさ。
そらはあおい。
沖に見える島は青島。
静寂の次には、国道を走るクルマの音...
中央構造線に沿って、40Km続く半島の先端を目指す...
灯台への遊歩道の入り口にあるはずの駐車場は、地すべりの影響により、駐車場の使用が出来ない状況だった。
狭い道に路上駐車し遊歩道を行く...
遊歩道の中間点、佐田岬灯台キャンプ場が見えてきた...
岬の先端に立ち、対岸の関崎を望む...
目の前の岩礁は黄金碆と呼ばれる。
潮流が速く座礁が絶えないことから昔は灯柱が立てられていた。
しかし保守作業が大変危険を伴うものであったことから、現在は佐田岬灯台から岩礁を照射する方式に変更されているという。
佐田岬灯台を見上げてみた...
蒼い空にうろこ雲。
かすかなめまいを感じて、空に吸い込まれそうになる...
国道九四フェリーに飛び乗った...
佐田岬の先端から三崎へ戻ってくると、国道九四フェリーの乗船が始まっていた。
フェリー乗り場の前で係員に聞くと、これからでも乗船できると言う...
えい!乗ってしまえ。
と、勢いで飛び乗ってしまった。「おいおい、九州まで行っちゃうのかよ。」自分でつぶやいていた。
フェリーは乗用車だけだと41台積載できるそうだ。
フェリーは南西に伸びる岬の先端部に併走する形で西に進む...
佐田岬の尾根沿いに風力発電のプロペラが20基そびえる。
この風力発電の風車は三菱重工製のMWT-1000Aである。宗谷岬ウィンドファームのものと同じモデルだ。
1,000kW風車で、大きさは、ローター直径約62m、タワー高68m、ブレード先端までの最大高は約100mである。
フェリーの前方は逆光の世界...
佐田岬灯台が近づいてきた。
後ろに見えるのは豊後富士と呼ばれる由布岳だろうか...
カラーでとらえたモノクロの世界だ。
佐田岬先端部を過ぎていく...
ここからは暗礁があちこちにある、速吸瀬戸(はやすいのせと)である。
潮流は最大5.5ノット(時速10km)と言われている。
三崎港をあわただしく出発。
定刻どおり15:30の便だ。
九州大分県の佐賀関に16:40に到着する...
さっそくデッキに上がり、三崎の港を見送る。
停泊しているフェリーは、三崎と別府を結ぶ宇和島運輸フェリーだ。
天気のいい日にフェリーに乗るのは本当に気持ちがいい。
1時間程度の船旅だが、楽しめそうな予感がする...
三崎から佐賀関までの運賃は7,660円だった。1時間ごとに発着するのでバスのような感覚で使えるフェリーだ。
航路は豊後水道の最も狭い部分である豊予海峡(速吸瀬戸)を越える。昔は難所と言われた場所。
おもいがけない船旅に期待がふくらむ...
速吸瀬戸を渡る
岬を出航した直後、港の方向を見た。
すばらしい青空と白い雲。
気持ちのいい船旅の始まり...
そして、フェリーが向かうのはこの九州である。
手前に見えるのが高島。
そして右が関崎である。後ろにそびえる山々は久住高原。彼方は阿蘇だ。
モノクロームのこの速吸瀬戸の風景は、いまでもまぶたに焼き付いている...
今の自分はどんな顔をしているんだろう...
ミラーの向こうの自分を撮る。
きみはこの旅で何を得るんだい?
もう一枚海を臨むホームの写真を撮る...
そして、次の自分の旅に出る...