この日の別当賀駅は上々の天気 

ボクはベンチに座ってパンをかじる 

空には綿をちぎったような雲が流れていた 

きもちいいブルー 

静けさと、かぜのおと

 
しばらくすると、根室行きの気動車がやってきた

 ボクは乗らないので、運転手にペコリとあたまを下げて合図した

 気動車の運転手は怪訝そうな顔をしていた 

さて、早々に発車の時刻 

車内の子供が手を振っていた

 ボクも帽子を振った


ディーゼルの音、去っていく気道車、少しの煙

別当賀で降りた人は一人もいなかった

クルマ で行く旅だけど、ボクは駅をたずねることが多い

 その駅は、たいがいローカル線の無人駅 

さびたレールと粗末なベンチ

 風雨を避けるための待合所

誰もいないのだが、人のぬくもりがある

この風景に出逢った旅は

北の大地と岬を巡る旅 2008年北海道