天然芝が広がる種差の海岸美

尻屋崎は夜間ゲートが閉まってしまうため、尻屋崎灯台のその光はまだ見たことは無い...

灯台には灯質という光の色と光るパターンが決まっていて、光を見るだけでその灯台を特定できる。

海図などに記載されている尻屋崎灯台の灯質は「Fl w 10sec 」つまり単閃白光 毎10秒に1閃光である。

一度夜の尻屋崎も訪れてみたい。

白亜の灯台、蒼い空に立つ。

吸い込まれそうな蒼い空だった...

国道45号を北上し、二十一川を越えると青森県に入る。

右折して県道1号に入って、種差海岸へ向かう...

司馬遼太郎や草野心平、東山魁夷に愛された種差海岸は日本の海岸風景の中でも特筆すべき美しい海岸だ。

波打ち際まで広がる天然芝の海岸風景を私はここしか知らない...

太陽は、空に浮かぶ雲に遮られたり、ときどき気まぐれのように現れて芝生を照らす...

気持ちのいい海岸。

裸足になって歩いてみる...

少しぬれた芝がひんやりしていた...

高台にある東屋に駆け上がる...

はるか広がる太平洋。

芝生にねっころがって、海を眺めていた...

上空の風が雲の形を次々に変えていく...

見ていて飽きない空の表情。

この日も最高の種差海岸を撮影できたわけではないけれども、過去ここを訪れたなかではベストだった...

尻屋崎灯台の真横にクルマを停めて付近を散策する...

このように灯台の横にクルマで乗りつけることの出来る灯台と言うのは意外に少ないのです。

本州最北端でもなく最東端でもない場所だが、日本でここほど「最果て感」を感じる場所を私は知らない。

尻屋崎は夏の風の無い穏やかな日は行楽で賑わいます。

訪れるなら秋がベストだと私は思います。それも風が強い日に...

司馬遼太郎は、「どこかの天体から人がきて地球の美しさを教えてやらねばならないはめになったとき、一番にこの種差海岸に案内してやろうとおもったりした。」と、著書「街道をゆく 陸奥のみち」で言っている...

まぁ、それほどか??という気もするが...

東山魁夷の代表作「道」もここで生まれているのだ。

下北半島に入る。北へ!

八戸の街を八戸大橋でショートカットして、県道19号を北へ向かう。国道338号に合流してさらに北へ...

下北半島は広い...八戸から尻屋崎まで110Kmの道のりだ。

小川原湖に代表される数々の汽水湖の横を通って、森の中を行く道を快走する。

本州最涯地 尻屋崎灯台

13:30に尻屋崎に到着。

途中で買った寿司で昼食。

風が強く外での食事と言うわけにはいかず、売店の前にクルマを

停めて熱いお茶を買って車中で食べる...

下北最果ての地を後にする...

本来の尻屋崎道路だったダートがところどころ残されている。

海が荒れていれば間違いなく波を被ることになるであろう道である...

それにしてもなんという爽快な気分だろうか。

海の広がるこのような道はそうそう無いのだ。

国道338号から県道248号、172号と走って、尻屋崎へ向かう県道6号に入る。尻屋崎へはあと10Kmである。

東通村にある桑畑山のふもとは風力発電のプロペラが乱立する。東通村では50基以上の風力発電が稼動しているし、原子力発電所も存在するエネルギー行政の村だ。

この岩屋の風力発電設備は2007年1月8日に風車倒壊事故が起こっており、運転が停止されていた...

しかし、ここまで全国に風力発電が増えてくると...景観的にいかがなものだろうか?

尻屋崎道路に入るゲートをくぐって、岬を目指す...

最果ての地に立つ灯台が見えてきた。

なぜか、達成感が湧き上がる...

ここはいつ来てもいい...

この尻屋崎灯台は東北地方で最初に出来た灯台なのだそうだ。

また、霧笛(霧信号所)が日本で初めて設置された場所でもある。

最果ての本当にさびしい、そして厳しい自然にさらされた場所なのだ...

高さ32.82mの灯台を見上げる...

蒼天の空に届きそうな威容を誇っている。

荒々しい岩礁に群青の海がぶつかる...

白い泡となって砕ける波。

対岸には北海道が見えていた...

風が強くても、じっと海を見ていたかった...

尻屋崎道路を何度も行ったり来たりした。

こんなことをする物好きはあまりいないのだろうか...

ふと気づくと、さっきまでそこにいた人たちはどこかへ消えた...

この日、岬に出ている寒立馬は少なかった。でも、何頭かいただけでも幸運だったのかもしれない...

この岬に長くいたような気はしなかったが、明らかに日が傾いていた。

この日の日没は16:30のはずだ...

対岸にうっすら見えるのは、北海道の恵山岬だ...

Z4Mも相当旅慣れてきた。

9月には彼の地へ渡っている...

誰もいない尻屋崎...

白い灯台、蒼い空、群青の海の色...

砕ける白い波。

枯れた草地。

それがこの場所のすべて...

落ちていく陽に向かって進もう...

不思議に寂しくはない。

こういう場所は自分を見つめなおすのにいい場所なのだ。

結論は出ない...

漠然としている思考...

そして、走る必然の無いダートの道へ進んで行った...

下北半島の果ての地、尻屋崎をあとにする...

灯台がみるみる離れていく...

空は晴天。

明日のことが頭によぎる...嫌な感じ...

もう帰らねば...

15時だった。

結局来た道を八戸まで戻ることにした。

いくつかの汽水湖を渡る...

クルマは無い...

広い道が続く。

明日のことは考えない...

第二みちのく道路の三沢ICを目指して、頭を空っぽにして走った...

尻屋崎道路のゲートを出て、県道6号線を西へ...

逆光でまぶしいドライブ。

正面彼方に見えるのは北海道の汐首岬。

大間から汐首岬へは17.5Kmしかない...

大間崎まで行くかどうか悩む。

道路は八戸から八戸道にその名を変える...

そして夕暮れを迎えた。

いい旅だった。

なんとなく充足感を感じる...

そして600Kmの夜のドライブが続くのだ。

明日は仕事だ...

頭の中に不安がよぎる。

尻屋崎から東京までは800Kmの道のりである。

第二みちのく道路に入ったのは16時を過ぎた頃だった。

この道路は東北道に直結しているが、ETCが使えない。百石道路に名前が変わる下田百石ICで一度下りて、そこでETCゲートを

くぐるように料金所で指示される。

800Kmの帰り道...

岩手山SAのレストランで岩手牛のステーキを食べる。

このSAのレストランはなかなか美味しくてお薦めである。

本当は盛岡で下りて、岩手短角牛のステーキを食べたいところだったが、その代用がこれである...

このあとも順調に東北道を走って、サービスエリアで少し眠って、AM1:00頃に自宅に到着。

1泊2日、1,802Kmのドライブでした。